ON AIR REPORT 放送レポート
EP05 2026年8月8日(土)23:00〜23:55 本レポート

吉田 幸弘 氏よしだ ゆきひろ

リーダーシップデザイナー/リフレッシュコミュニケーションズ代表/人材育成コンサルタント/ビジネス書著者(22冊)

23校不合格、3度の降格人事、それでも22冊目へ。
——意志ではなく、仕組みで続ける男の哲学。

第5回。PHP研究所編集長・大隅元が読み解くのは、飛鳥新社から『すごい継続力』を上梓した吉田 幸弘 氏。かつては「怒ってばかりの不器用なコミュニケーション」でチームを壊し、3度の降格人事を経験した男が、なぜ22冊もの本を書き続けられるのか。他社の編集長が、その“続ける技術”の正体にまっすぐ迫る。

吉田 幸弘 氏

この対談は、どういう“越境”なのか

「@本が読みたくなる、ラジオ」には、ひとつの決めごとがある。自分が編集していない、他社の著者の本を、現役の編集長が読み解く。 担当編集という立場のしがらみを離れ、一人のプロの読み手として著者に向き合う——第5回もその実践だ。

読み解くのは、PHP研究所編集長・大隅元。相対するのは、飛鳥新社から『すごい継続力』を上梓した吉田 幸弘 氏。実は二人、初対面ではない。吉田氏の初著書『1冊まるごと完コピ読書術』の出版記念パーティーに大隅も登壇しており、そのときの縁が今回のオファーにつながっている。旧知の間柄だからこそ踏み込める距離感が、この回の対話を支えている。

今日の一冊——美和子と翔太が出会う『すごい継続力』

番組は、ある場面のナレーションから幕を開ける。出張前、東京駅の新幹線ホーム。翔太はベルが鳴るまでの数分間、スマホをしまって一冊の本を開いていた。タイトルは『すごい継続力』。

翔太には長年の悩みがあった。英語学習も、読書習慣も、筋トレも、始めてはやめるの繰り返し。そのたびに「意志の弱い自分」を責めてきた。ところが吉田氏は本書でまったく別の問いを立てる。続けられないのは意志の問題ではない。自分に合った続け方を知らないだけだ、と。

「俺はサルだ」翔太がふとつぶやく。美和子が「なに、サルって」と笑う。本書は人を6つの動物タイプに分ける。全力で飛ばして燃え尽きるチータータイプ、完璧を求めて止まるタカタイプ、ルールに縛られるビーバータイプ、気分でやめるサルタイプ、手を広げすぎるタコタイプ、一人で突っ走るオオカミタイプ——タイプがわかれば、続け方がわかる。努力の話ではなく、設計の話。継続は才能ではなくスキルだという言葉には、著者が向き合ってきた現場の重みがあった。

聴きどころ ①「続けられないのは意志の問題じゃない」——仕組みで続けるという発想

ゲストトークは、本書の核心にある逆説から始まった。多くのビジネスパーソンは「意志が弱いから続かない」と自分を責める。だが吉田氏は、その前提自体を疑う。

「続けられないのは意思の問題ではない、自分に合った続け方を知らないだけだ」

本書の入口は、6タイプの動物診断だ。サル・チーター・ビーバー・オオカミ・タカ・タコ——占い感覚で自分の“続けられなさ”のクセを知り、そこから章を追うごとにタイプ別の攻略法へと進んでいく設計になっている。大隅は編集者の視点から、この診断を本の入口に置いた構成そのものを高く評価した。世に多く出回る「習慣化」系の本にありがちな“やることが多すぎて結局続かない”というジレンマを、この診断が断ち切っている、と。

聴きどころ ②23校不合格、3度の降格人事——挫折の先にあった読書

吉田氏の経歴は、聴く者を何度も驚かせる。大学受験は23校不合格。唯一合格した成城大学国文学科も、6回目の受験でようやく通った学科だった。社会人になってからも、ハラスメント気味の「姿勢マネジメント」でチームを壊して降格、転職先でも同じ失敗を繰り返し、3度目は営業成績の低迷で降格——という経歴を、吉田氏は隠さず語った。

その原点は、大学時代のボート部にまで遡る。コックス(船の先導役)として上級生を従わせる立場になったとき、吉田氏は「なめられてはいけない」と、常に厳しい表情を意識していたという。手本にしたのは往年の名将・星野仙一氏の厳しい顔つき。実は、吉田氏はもともと表情の柔らかいタイプだった。 その素の柔和さを封印し、あえて厳しい表情を作り続けたことが、のちの3度の降格につながる“威圧のマネジメント”の原型になっていた。

転機は「本を読み始めたこと」だった。それまでは自分の経験こそがすべてだと思い込み、本を読むと型にはまると考えていた。だが30代を超え、業績の良いマネージャーを見て「このままではダメだ」と痛感し、ブックオフの105円コーナーに通ってマネジメント書を読み漁るようになる。1冊が劇的に人生を変えたのではなく、10冊、20冊と読み重ねるうちに、少しずつ変わっていった——その地道な積み重ねが、のちに『すごい継続力』というタイトルを書ける人物を作った。

編集部が収録現場で目にしたのは、その柔和な素顔を一度も崩さない吉田氏だった。 かつて封印してまで厳しさを演じていた表情は、もうどこにもない。継続とは、自分を偽って我慢し続けることではなく、自分に合った形を見つけて無理なく続けること——収録中崩れなかったあの表情こそ、吉田氏が『すごい継続力』で本当に伝えたかったことの、何よりの地金だったのかもしれない。

聴きどころ ③生放送で“当てっこ”——大隅は「タコタイプ」、あつみは「チータータイプ」

この回の名物になったのが、6タイプ診断を使った即興の当てっこだ。吉田氏が大隅を診断し、「おそらくタコじゃないかな。器用で好奇心旺盛なタコタイプ」と予想。実際にアプリで診断した結果は見事的中し、大隅は自身の“あれもこれも手を出す”性分を認めることになった。あつみは自身の診断で「チータータイプ」——スタートダッシュは強いが、途中で息切れするタイプだと判明した。

診断結果を巡るやりとりは笑いに包まれながらも、本書の本質を体現していた。タイプを知ることは、自分を責めないための入口になる。 大隅は「編集者は好奇心旺盛でタコタイプが多いのでは」と分析し、吉田氏も「著者はひとつのことを極める人が多いから、逆に編集者はタコタイプが多い気がする」と応じた。

聴きどころ ④22冊書き続けられる理由——「偉そうにした時が終わり」

なぜ吉田氏は22冊もの本を書き続けられるのか。大隅の問いに、吉田氏は「同じテーマばかり書いてきた葛藤」を率直に明かした。講演や研修は毎回聴衆が違うから専門性として評価されるが、本は読者が重なる。「飽きられていないか」という不安と隣り合わせで書いてきたという。それでも書き続けられる理由として、吉田氏はこう語った。

「偉そうにした時が終わりかなっていうのはすごく思ってて」

かつての降格人事の背景には「偉そうな態度」があったという自覚が、今の謙虚な姿勢につながっている。編集者への向き合い方、書店の使い分け(大型書店では普段読まないジャンルへ、駅中書店では売れ筋を効率よく)、レゲエを聴きながら執筆する意外な習慣——ひとつひとつのディテールが、“継続”という一見地味なテーマを人物の厚みへと変えていく。

収録中のスタジオスナップ
スタジオでの収録風景

越境がもたらしたもの

編集を担当していない読み手だからこそ、吉田氏の飾らない経歴——23校不合格、3度の降格人事——を、まっすぐに引き出せた。動物診断というアイデアの裏側、担当編集者との対話から生まれた企画の経緯、そして「偉そうにした時が終わり」という一貫した哲学。担当編集なら聞きづらいことも、越境の読み手だからこそ率直に問える。その健全さが、初対面ではない二人の対話にも新しい発見を生んだ。

吉田 幸弘 氏という人物を、これほど立体的に浮かび上がらせた55分。放送を聴けば、なぜこの人が22冊もの本を書き続けられるのか、その答えが腑に落ちるはずだ。

収録を終えた出演者一同
収録を終えて(MUSIC BIRDスタジオにて)

ゲスト著者プロフィール

吉田 幸弘 氏(よしだ ゆきひろ)

リーダーシップデザイナー。リフレッシュコミュニケーションズ代表。成城大学卒業後、複数の企業を経て独立。かつては「怒ってばかりの不器用なコミュニケーション」でチームを壊し、3度の降格人事を経験したが、伝え方とマネジメントを学び直し、5か月連続営業成績トップ・部署の離職率を10分の1に、売上前年比20%増を3年連続で達成。2011年に独立し、以来経営者・管理職を中心に3万7000人のビジネスパーソンに関わってきた。メディア出演・掲載も「おはよう日本」「日経ビジネス」「プレジデント」「J-WAVE」など多方面。

『すごい継続力』書影

『すごい継続力』(飛鳥新社/2026年6月4日発売)

続けられないのは意志の問題ではなく、自分に合った続け方を知らないだけ——6つの動物タイプ診断から始まり、タイプ別に「続けられない理由」と「攻略法」を提示する実践書。著者自身の3度の降格人事という原体験から生まれた、再現性のある継続の技術が詰まった一冊。22冊目の新刊。他の著書に『転生したらスライムだった件 リーダーシップはスライムに学べ』(講談社)など。

GUEST'S WORKゲストの活動・関連リンク

ON AIR放送情報

  • 放送日時:2026年8月8日(土)23:00〜23:55
  • 放送:全国110局のコミュニティFMで放送
  • ♪ 私を作った一曲:Mr.Children「名もなき詩」(吉田 幸弘 氏 選曲)

ABOUT@本が読みたくなる、ラジオ

「@本が読みたくなる、ラジオ」は、自分が編集していない、他社の著者の本を、現役編集長が読み解くという決めごとを持つ対談ラジオ番組です。担当編集という利害から自由な読み手だからこそ、著者の本質にまっすぐ切り込む。ナビゲーターのあつみゆりかとともに、全国110局のコミュニティFMで放送中。

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文責:編集部 Toshi Kinoshita