ON AIR REPORT 放送レポート
EP01 2026年7月11日(土)23:00〜23:55 本レポート

石川 和男 氏(いしかわ かずお)

時間管理の専門家/明治大学客員研究員/メンサ会員/ビジネス書著者(累計34冊)

偏差値30から、10の肩書きへ。
——「読まないから、時間がない」と言い切る男の、一冊のノート。

記念すべき第1回目ゲスト。すばる舎編集長・小寺裕樹が読み解くのは、青春出版社から『速効読書』を放った石川 和男 氏。税理士に大学講師、建設会社役員……10もの顔を同時に持つこの人物は、かつて深夜11時まで残業していた「ダメダメなサラリーマン」だった。その人生を反転させた技術の正体を、他社の編集長がまっすぐに掘り起こす。

石川 和男 氏

この対談は、どういう“越境”なのか

「@本が読みたくなる、ラジオ」には、ひとつの決めごとがある。自分が編集していない、他社の著者の本を、現役の編集長が読み解く。 担当編集という立場のしがらみを離れ、一人のプロの読み手として著者に向き合う——その最初の実践が、この回だ。

読み解くのは、すばる舎編集長・小寺裕樹。相対するのは、青春出版社から『速効読書』を上梓した石川 和男 氏。利害から自由な読み手だからこそ、著者の本質にまっすぐ切り込める。そしてこの初回、その“まっすぐさ”は、誰も予想しなかった場所へ対話を運んでいく。

今日の一冊——美和子と翔太が出会う『速効読書』

番組は、ある場面のナレーションから幕を開ける。残業続きの会社員・翔太が、スマホで本の要約動画を眺めている。そこへ上司の美和子が声をかける。「その本、知ってるわ。すごくいい本よ」——今日の一冊、石川 和男 氏の『速効読書』を、二人のやりとりが解きほぐしていく。

この本が説くのは、速読でも多読でもない。1日15分だけ読む。そして読んだことを、必ず仕事に使う。 読んだ量ではなく、読んで何を行動に変えたか。それだけが読書の価値だと、著者は言い切る。「忙しいから本が読めない」と多くの人が感じている。だが実際は逆だ——読むことで仕事が速くなり、判断が鋭くなり、結果として時間が生まれる。翔太がスマホを置く。この一冊から始めてみよう、と。

聴きどころ ①なぜ、忙しい人ほど本を読むべきなのか

ゲストトークは、本書の根っこにある逆説から始まった。多くのビジネスパーソンは、読む時間をどう捻出するかで悩む。だが石川氏は、その問いごとひっくり返す。

「忙しくて本を読む時間がないんじゃなくて、本を読まないから忙しいんじゃないか」

先人のノウハウを知らないまま我流で進むから、時間がかかる。本には、時間術もマナーも語学も、あらゆる課題を解く種がある——石川氏はそう語る。この着想を、石川氏は三宅 香帆 氏『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』へのアンチテーゼとして得たという。ところが書き進めるうち、結論は三宅氏と同じ地点へ収斂した。効率よく働いて余白を生み、その時間で人生を充実させる。入口は正反対でも、行き着く先は重なる——その発見を、石川氏は編集者の前で率直に明かした。

聴きどころ ②2,000項目のノートが明かす、“分身の術”の正体

10の肩書き。累計34冊。この仕事量の秘密はどこにあるのか。小寺編集長が「石川先生には分身がいるのでは」と切り込むと、石川氏は種明かしを始める。読んで「いいな」と思ったことをノートに書き留め、毎日読み返す。その蓄積が、いまや2,000項目に達している。

読みっぱなしでは意味がない。人は忘れる生き物だから、書き留めて繰り返し見返す。すると知識が血肉になり、いざというときスパッと引き出せる——派手な速読術ではなく、この地道な反復こそが本書の背骨だ。小寺編集長は編集者の視点から、線を引きたくなる一行の多さに唸る。

「15分は、1日のたった1%の時間」

「15分の知識の定期預金。しかも元本割れのリスクがない」

こうした“素晴らしい一行”に、編集長の「メモの手が止まらなかった」。石川氏はその賛辞に、書き終えたあと「どう言えば読者が喜ぶか」「逆張りできないか」を考える時間のほうが長いのだと応じる。線を引きたくなる言葉は、天性ではなく執念の産物だった。

聴きどころ ③偏差値30、6回の転職、そしてニート——反転の起点

石川氏の経歴は、聴く者を何度も驚かせる。高校は定員割れで全員合格。大学は名前を書けば受かる夜間の定時制で、しかも留年。入った会社はいわゆるブラック企業。その後6回転職し、一度はニートになって妻の扶養に入った——。

その人生を反転させたのが、読書術だった。読んで、書き留めて、実践して、習慣にする。効率化が進み、仕事が増え、人に任せられるようになり、気づけば10の肩書きを持つに至った。しかも今年2月、試しに受けたMENSA(高IQ団体)の試験に合格したという。「偏差値30とMENSA、どういうことですか」——あつみの困惑に、石川氏は笑う。IQではなく、勉強のやり方を知らなかっただけ。速効読書はビジネスの話だが、勉強にも通じる。もし当時この技術を知っていたら、もっと違う場所に行けたかもしれない、と。

この番組が引き出したいのは、まさにこういう瞬間だ。 本の中身ではなく、その本を書いた人間そのもの。石川 和男 氏という人物の輪郭が、対話のなかでくっきりと立ち上がっていく。

収録中の石川 和男 氏と小寺裕樹編集長
スタジオでの収録風景

聴きどころ ④生放送中に、新刊の“芽”が2つ生まれた

この回の白眉は、対談そのものが番組コンセプトを体現してしまった瞬間にある。石川氏が温めている逆張り企画——「机を片付けてはいけない」——を口にすると、小寺編集長が即座に反応する。その場の熱で、一冊分のアイデアが転がり出す。さらに石川氏の仕事哲学「任せる」をめぐる話から、もう一つの芽が顔を出す。「任せる本といえば小寺さんですよね」——。

もちろん、これは生放送の高揚のなかで交わされた言葉であり、どこまで本気かは二人にしかわからない。だが確かなのは、「他社の著者を、他社の編集長が読み解く」という掛け合わせが、その場で新しい何かを生む磁場になったということだ。この番組が何を起こしうるのかを、EP01は初回にして予感させる。

越境がもたらしたもの

編集を担当していない読み手だからこそ、石川氏の本質を利害から自由に引き出せた。逆を考え抜く思考の癖、再現性・速効性・独自性という自著への3つの問い、子どもに原稿をチェックさせる仕組み化、そして『面接の達人』を原型とする一貫した哲学——。担当編集なら聞きづらいことも、越境の読み手だからまっすぐ問える。その健全さが、初回から番組の輪郭をくっきりと描き出した。

石川 和男 氏という人物を、これほど立体的に浮かび上がらせた55分。放送を聴けば、なぜこの人が10の肩書きを両立できるのか、その答えが腑に落ちるはずだ。

収録を終えた出演者一同
収録を終えて(MUSIC BIRDスタジオにて)

ゲスト著者プロフィール

石川 和男 氏(いしかわ かずお)

時間管理の専門家。税理士、明治大学客員研究員、建設会社の役員、セミナー講師、オンラインサロン「石川塾」の主宰など、10もの肩書きを持ち、複数の仕事を同時にこなす。ビジネス書の著者として累計34冊。もともとは毎晩深夜11時まで残業するのが当たり前のサラリーマンだったが、一念発起し、生産性を下げずに残業を減らす仕事術を確立した。

『速効読書』書影

『誰でもできて100%仕事の成果が出る 速効読書』(青春出版社/2026年5月30日発売)

速読でも多読でもなく、1日15分だけ読んで行動に変えることを繰り返す。その積み重ねが、仕事と時間と人生を変えていく。著者自身の実体験から生まれた、実践的な読書の技術が詰まった一冊。

GUEST'S WORKゲストの著作・活動

ON AIR放送情報

  • 放送日時:2026年7月11日(土)23:00〜23:55
  • 放送:全国110局のコミュニティFMで放送
  • ♪ 私を作った一曲:佐野元春「SOMEDAY」(石川 和男 氏 選曲)

ABOUT@本が読みたくなる、ラジオ

「@本が読みたくなる、ラジオ」は、自分が編集していない、他社の著者の本を、現役編集長が読み解くという決めごとを持つ対談ラジオ番組です。担当編集という利害から自由な読み手だからこそ、著者の本質にまっすぐ切り込む。ナビゲーターのあつみゆりかとともに、全国110局のコミュニティFMで放送中。

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文責:編集部 Toshi Kinoshita